物語は、妻子持ちのサラリーマン、哲也(33)が会社の部長から単身赴任を告げられるところから始まる。
妻のアヤがとにかくすぐ泣いてしまう弱々しい女性なのだが、単身赴任の間に見舞われるさまざまな困難を通して成長していく様子が描かれている。
読み始めてまもなく、タイトルのなきむし姫がアヤであることが分かったのだが、
いい歳(哲也とは幼馴染で33歳)の大人とは思えないぐらい精神的に自立していない人間だと感じた。
どの程度かというと、哲也が単身赴任に行く1週間ほど前、最後にアヤと話をするために自宅近くのショッピングセンターにある観覧車に乗るのだが、
チケットを4周分買い、観覧車が回っている間ずっと泣き通しという有様だった。
完全なメンヘラという感じで、少し読むのがだるかった場面。
登場人物の1人に、哲也の幼馴染の健がいるのだが、この人の言動には無神経なものが多くかなりイライラさせられた。
中でも、哲也が単身赴任中に2日ほど帰ってきた期間があり、
その際に哲也は家族と過ごすことを考えていたのだが、
健が勝手にバーベキューの予定を入れてしまった場面には腹が立ってしまった。
重松作品はどれも基本的に読んでいて温かな気持ちになるのだが、
この小説だけは終始穏やかでない気持ちで読んでいた。